どうも、メディアアート大好き、Reveです。
今回は、11月16日から始まるiiiEx 東大制作展の前哨戦に今年の7月に行ってきたというお話です。年2回の開催で7月はプレというイメージが強く、まもなく始まる11月の方が複数会場で作品数も多く作品もブラッシュアップされています。
2023/11/16(木)~2023/11/20(月)の5日間、各日 11:00-19:00(最終日のみ17:00まで)テーマは『學藝運動』、楽しみですね!
7月のiiiexは東京大学情報学環オープンスタジオで開催されることが多いです。東京大学本郷キャンパスに来ると、会場までの案内板↑があるので辿っていくと到着できます!
東大制作展とは?
東京大学で毎年7月と11月の年2回開催されるテクノロジーとアートを掛け合わせた作品の展示会です。今回のテーマは”VOIDAGE”、2023年7月7日~10日開催。展示毎にテーマが変わるのも特徴です。
実は授業の一環で行われる企画展ですが、東大生だけでなく他大生や教職員など様々なバックグランドを持つ人たちが参加するインターカレッジなもので、学生自ら作品を制作しつつ企画から運営までを行っており頭が上がりません。会場の運営・デザインだけでなく、上記のWEBサイトやフライヤーも学生さんが制作しています🎨
作品はもとより展示会の質も高く、気が付けば鑑賞が恒例行事になりました。
クオリティも高くアイディアも斬新でとても面白いのはもちろんなのですが、我々が大好きなメディアアートの展示は少なくて貴重なのです。
実は数年前(2017年11月)に展示をしたこともありますが、それはまた別の記事で…✑
感想
cats take care No. 1
猫が水を摂取するタイミングで制作者も同時に水を飲むというパフォーマンスアートの要素を持つ作品。猫の映像は録画ですが、猫が水を飲む時間に合わせてソレノイドバルブを制御して水を供給しています。
水を飲むことをついつい忘れがちな制作者に猫が水を飲むことで、装置を介してコップに注がれる水を制作者が飲む。一方で、猫が水を飲んでいないとコップに水が溜まらないので、猫の喉の渇き具合が制作者もわかるというもの。制作者が眠っている間に夜行性の猫が飲んだ約700mlの水を朝一に飲むのはきつかったという感想に思わず笑ってしまった。
猫に水を飲むタイミングを教えてもらっているのか、制作者が猫になりたいのか…昨年も猫を題材に作品を制作されていた方で、猫への愛が詰まっている作品でした。
まなざしをまなざす
視線を画面に向けると流れる映像が変化するインタラクティブな映像作品。視線はWebカメラから推定。
『視線の暴力』、この発想は面白い!確かに!と思いました。
人に見られていると緊張して失敗したり、いつもやっていることが上手くできなかったり…そんな経験を鑑賞者の視線で作品化。鑑賞者が映像のある部分を見続けるか見ないかで、映像が分岐します。作品ではジェンガをする人を見つめ続けるとジェンガが崩れて失敗となり、映像の中の人物に”お前のせいだ”と言わんばかりに睨まれます(笑)これが視線の暴力か~と作品の体験を通して、なるほど!と思わされました。
Morphing Clothes
うろこのような服。一部がバイオメタルで動きます。パリコレやperfumeを連想しました。
11月の展示で、鱗が動くスカートがどのように進化するのか楽しみです。全部の鱗がうねうねと動いていたら面白そうですね。
Octave Hands
2つに増えた右手でピアノが弾けるVR作品。ハンドトラッキングで追従した右手の左右にCGモデルを描画して(本来の「右手」はCGの手2つに挟まれた状態)、電子ピアノのMIDI信号を受け取ってVR上で音を流す。体験者によって左右どちらのモデルが自分の「右手」か感じ方が変わるそうで、右が6割、左が3割、後の1割弱が判別つかないと答えるそうですが、たまに真相に気づく人もいるらしい。僕は真ん中と真相を答えてしまいましたが、相方は絶対にやや右寄りだったそう。感覚の違いの要因は何なのか、興味深いですね。
場所の琴線
本郷キャンパスの縮小写真と様々なキーワードが記述されたプレートの間にワイヤーを張ったインタラクティブ作品。ワイヤーをつまむとキーワードに対応したインタビュー音声が聞こえる。
作品タイトルが琴線だったので、その場所で収集した楽器か何かの音が鳴ると思いましたがインタビュー音声でした。琴線という素敵なタイトルなので、インタビューをリミックスして音楽にしたり、Google Mapと連携したり、巨大化したら面白いな…などとつい考えてしまいます。
水滴の彫刻
蜘蛛の巣のように張られたワイヤーとそれに滴る水滴で構成されるミクストメディア作品。超音波式の加湿器とペルチェ素子で人工的に水滴を作り出す。
雨に濡れてキラキラした蜘蛛の巣って綺麗ですよね!蜘蛛は苦手ですが…今回の作品はひし形の様なシンプルな形だったので、11月は蜘蛛の巣や複雑な形のワイヤーに滴る雫を見てみたいです✨
Triptych of Superposition
鑑賞位置で見える物が変わるインスタレーション。ASKA3Dというハーフミラーと鏡を組み合わせて視点で変化する結像を形ある物体と一緒に映し出す。
ASKA3Dに映す葉っぱの前に本物の枝を置くことで、実在感を増す工夫がされており、一瞬本物かと思いました🍃
その他
愛したものの居場所
「死を愛した男」をテーマにした映像作品。元は東京藝大卒展で展示されていたものを本企画用にリメイクしたらしい。音声も指向性スピーカーで特定の位置からしか聴けないようになってた。
余談ですが、モニターの設置方法が気になりました(専用の木枠にモニター5台を固定して、木枠ごとワイヤーで天井から吊り下げ)。
本郷補完計画
本郷キャンパス構内の凹凸をスキャンして型に使い、いろんな材質で物質化した立体作品。
たがいにかかわりあういのち
人工生命を床に映し、鑑賞者に反応して変化するインタラクティブアート。LiDARで鑑賞者の動きを検知し、ライトで演出しつつプロジェクターで人工生命を投影。
AIちゃんとのふれあい(仮)
振動と温感という触覚のみで感情を伝えるAIロボットと触れ合うメディアアート。
Jeezy(レシート小説)
インスタント小説プリンター。AIが学習データから短い小説を感熱紙にプリント。
フランスで若手作家のために実際にあったレシート小説のAI化。ChatGPTは生成に時間がかかるため、先にいくつか生成しておき、鑑賞者がカテゴリーのボタンを押すと該当カテゴリーの小説がレシートに印刷される仕組み。
数年前のMedia Ambition Tokyo@渋谷のレシート作品はどんなだっただろう…思い出せないので探して書き留めます(なかなか見つからない!!)
Distress in Express
VR避難訓練。近年の電車の中での事件を踏まえて、このような状況であなたはどうしますか?を問うVR作品。
音す
鑑賞者の声を展示会場にテキストという形で残すAR作品(デジタル版コエカタマリン?)。将来的には、感情によって色やフォントを変化させたいとのこと。
言の葉の樹
鑑賞者の発した言葉の裏側に隠れる感情を樹木という形で可視化するデジタルアート。
群青
水滴が水面から独立して泳ぐ様子を見せるインスタレーション・・・だったらしいですが動作が見られず詳細は不明。
Your story?
自分自身が小説の主人公になっていくデジタル作品。本のページのめくれるギミックが好き。
Breathe
ワイヤーで構成されるインスタレーション作品。風車のような装置に息を吹きかけると、偏光板を回転させて作品に当たる光と陰影を変化させる。
ワイヤーの作品に落ちる偏光板のささやかな光が、誰もいない廃墟の中にあるモニュメントを照らすとてもささやかな木漏れ日といった感じでした。装置と作品の連携に気付かなかった人もいるのでは?
あとがき
冒頭にも書きましたが、7月の展示はプレなので作品数は少ないですが、11月の本番は作品数も会場も増えます。今回の作品を進化させる人もいれば、テーマも変わるので全く異なる作品を作る人もいます。
次はどのような作品や発想に出会えるのか楽しみです♪
急に寒くなりましたが、興味を持たれた方は是非、東大本郷キャンパスに足を運んでみてください!きっと銀杏の木も色付いている頃だと思います。