どうも、ヴィンテージ水晶発振子を使った時計の続きです。
今回は、とうとうこの時計の「顔」、VFD管を光らせる回路を作ります。
目次
- 概要と機能・動作
- 材料
- クロック回路
- 時計(時刻のカウント)
- 時刻合わせ
- VFD点灯制御 ← 今回はココ!!
- 電源、リセット
- 実装(はんだ付け、筐体)
- 完成までのストーリー
この回路の役割
VFD管を点灯させて、時計本体の保持する時刻を表示するディスプレイ。これが無いと我々は時刻が見られません。
VFD管点灯用ドライバ回路 (時刻表示)
VFD管は主にグリッド、アノード、フィラメントという3種類の電極を持ち、フィラメントに電気(1V前後)を流して内部を温めた上で、グリッドに正電圧をかけ(12~24V位)、光らせたい部分に対応するアノードにも同電圧をかけることで点灯します。
ちなみに、ノリタケ伊勢電子(旧:伊勢電子工業)が1966年に世界で初めて開発した日本生まれの表示素子だそうです。
点灯制御(スタティック、ダイナミック)
点灯の制御は、大きく分けてスタティック方式とダイナミック方式の2種類です。
- スタティック方式:VFDの各ピンが独立しており、別々に制御される点灯方式。概して必要な出力ピンや部品は増えるが、制御しやすい
- ダイナミック方式:同じ役割のアノードを共通化し、電圧をかけるグリッドとアノードを高速で切り替える点灯方式。出力ピンや部品点数を減らせる一方、設計が難しい
今回は仕様の関係でスタティック方式を選びました。ダイナミック方式も検討しましたが、マイコンなどプログラマブルなICを一切使わないため点灯切り替え用の回路も組まなければならず、部品の数が変わらない所か増えそうだったので諦めました。
VFD管の電源は、グリッドとアノード用に12V、フィラメント用に約6V(1V x 6本)を供給します。グリッドは全て同じ12Vにつなぎました。
アノード
VFDを制御する回路は以下の通り。
VFD管の点灯には、7セグメントドライバのTC4511、トランジスタアレイ(ソースドライバ)のTBD62783、モータードライバのBD6211を使いました。
TC4511とTBD62783はVFD管のアノード(7セグとドット)制御を担います。74HC161の出力は4ビットバイナリなので、そのままでは7セグの選択には使えません。そこでTC4511で4ビット出力を7セグメントに変換し、TBD62783の入力1~7につないで駆動電流を確保しています。
また、数字の区切りがわかりやすくなるよう、時と分の一の位に対応するIC(TBD62783)について、入力8にクロック信号をそのまま入れてます(後は全てL)。
/LTピンは電源(5V)、LEピンはGNDに接続しました。また、/BIピンは後述のリセット回路につないでいます。
フィラメント
実はフィラメントの制御方法もいくつかあり、主に以下の条件で分かれます。
- 電源:直流 or 交流
- フィラメント:直列 or 並列接続
一番簡単なのは、各フィラメントを並列接続して直流電源を流す方式です。ただ、直流はフィラメントの寿命を縮める恐れもあるため、以下を参考に交流制御に挑戦しました。
ここでは、フォトカプラ TLP621-2 とモータードライバ BD6211 でVFD管のフィラメント(ヒーター)を交流駆動しました。
分周回路からの100Hz信号を、フォトカプラで疑似交流にしてBD6211の入力につなぐことで、フィラメントを交流で駆動します。フィラメント電源は1V前後で、6本のヒーターを数珠つなぎ(デイジーチェーン)でBD6211の出力に接続します。抵抗は入力側を470Ω、出力側を10kΩ(プルアップ)にしました(が、抵抗値の調整がもう少し必要だった気がする…)。
VFD管の変換基板
今回のVFD管(IV-6)は、抵抗のような細いリード線が伸びているタイプで、対応するソケットは特にありません。
そこで、丸型ユニバーサル基板にそれぞれVFD管とピンヘッダを取り付け(計6個)
それを搭載するための変換基板を細長いユニバーサル基板とピンソケット、コネクタで作りました。
メイキング
ようやく青く光るVFD管の登場です!早く光らせたいですね。