どうも、前回からの続きでヴィンテージ水晶発振子を使った時計を作っていきます。
まずは、最低限必要な部品を揃えます。
目次(全9回 デジタル時計の作り方)
- 概要と機能・動作
- 材料 ← 今回はココ!!
- クロック回路
- 時計(時刻のカウント)
- 時刻合わせ
- VFD点灯制御
- 電源、リセット
- 実装(はんだ付け、筐体)
- 完成までのストーリー
必要な材料
抵抗やコネクタなどを始め、制作に使った部品は枚挙に暇がありませんが、今回は水晶発振子を始め、特に重要な電子部品を記述していきます。
水晶発振子
その名の通り、高速で振える(発振する)水晶が入った電子部品で、時計や計算機、無線通信など様々な電子回路に使われています。今や数mm位の大きさが当たり前となっていますが、昔はもっと大きく、ガラス管などに封入されています。
出だしで紹介するこの部品、実は入手難度が一番高い代物。とっくに生産を終了しており、数少ない現品をどこかで見つけ出さないといけません。Amazonや楽天といった大手コマースはおろか、電子部品の専門店でもなかなか見つからず、オークションや個人輸入などで探す必要もあります。
今回使ったのはeBay。B7Gという7ピンのMT型真空管と同形の水晶発振子で、発振周波数は10kHz。実は可聴域(20~20kHz)内にあるのでキーンという高音が聞こえます。
現物を確認したい方は、例えば秋葉原のマイクロ・パワー研究所という店舗があります(営業日などに注意)。ちなみに、我々もそこで現物を拝見いたしました。
ソケット
水晶発振子をはんだ付けで直付けしても良いのですが、万が一壊れた時に交換できるようソケットを購入しました。水晶発振子は7ピンですが、実はピンが等間隔ではなく正八角形から点を一つ抜いたような形で配置されているため、MT管用のを選んでいます。
クロック源IC
1秒を生成するための回路で、発振回路と分周器で構成されています。左が発振回路用IC(74HCU04)、右が分周器用IC(74HC590)です。
発振回路(74HCU04)
まず、水晶発振子を10kHzで発振させるため、アンバッファタイプのインバータ(NOT回路)ICである74HCU04を使いました。リニア領域が広いため異常発振しづらく、手軽に発振回路を作るためよく使われます。
分周器(74HC590)
上記で得られた10kHzの信号を1Hz(1秒)に直すための回路です。74HC590は2進と5進カウンタを2つずつ持っているため、信号を1/100(1/10の2乗)分周することが可能で、このICを2つ繋げることで1/10000分周を作り出します。10kHzは10000Hzなので、この分周器を通すことで1秒が得られます。
VFD管(IV-6)
この部品に関しても製造を廃止した型番が多く、IV-6もその一つです。ただ、VFD管はまだ現存数があるのか、Amazonなどでも割と見つかったりします。
車載ディスプレイなど今も生産されている製品もありますが、水晶発振子の雰囲気に合うものにしたかったので、ガラス管でヴィンテージ風のIV-6を選びました。なお、こちらは針金状の導線であるため、対応するソケットはありません。
eBayで購入したいかたはこちらからどうぞ。
時計用ロジックIC
時計を作るために使用した論理回路のICは、なんと全部で8種類、26個もあります。数が多いので表にまとめてみました。
名称 | 個数 | 詳細 |
74HC00 | 2 | 4回路2入力NAND |
74HC04 | 1 | 6回路NOT |
74HC08 | 3 | 4回路2入力AND |
74HC10 | 2 | 3回路3入力NAND |
74HC14 | 2 | 6回路シュミットトリガNOT |
74HC161 | 6 | 同期式4ビットカウンタ(16進数) |
74HC192 | 4 | 同期式4ビットアップダウンカウンタ(10進数) |
TC4511 | 6 | 7セグメントドライバ(7セグメントデコーダ) |
様々なICを少しずつ使うので、Amazonなどの通販では品揃えや配送料の関係で意外と高くつきます。なので、電子部品の小売店(秋月電子、千石電商、マルツ、共立など)での注文をお勧めします。
とはいえ、どうしてもAmazonで買いたい方は下からどうぞ(74HC00, 04, 08, 10, 14は一つずつしか入っていないので、一番左の商品が最低3個は必要)。
メイン電源
全体の電源供給は12V(1A以上)のACアダプタを使いました。
時計回路などロジックIC全般の電源には、5V出力の三端子レギュレータで代表的なNJM7805FAで済ませています。
VFD管の駆動用部品
残念ながらロジックICでは、時計の計測はできてもVFDを光らせることはできません。そこで、VFD用のフィラメント(ヒーター)用電源と駆動用ドライバを用意します。
フィラメント用電源(LM338など)
フィラメントは大体1V位で動作しますが、今回は各VFDのフィラメントを直列でつなぎ(疑似的な)交流制御で通電させるため、6V程度を与える必要があります。
そこで、可変型レギュレータで電圧を調整できるLM338をフィラメント用の電源部品として選定しました。
また、モータードライバBD6211FとフォトカプラのTLP624-2(Amazon)で交流回路を組みました。
ちなみに、電源部分やモータードライバは発熱しやすいので、ヒートシンクを装着したほうが良いでしょう。
ドライバ(TBD62783APG)
VFDの点灯制御用のドライバICには、8chソーストランジスタアレイのTBD62783APGを使いました。ICの出力ピンをVFDの各セグメント(アノード)ピンにつなぐことで、どの部分を光らせるか制御することができます。こちらは各VFD管に1個ずつ必要なので、合計6つ使います。
ただ、秋月電子などで購入できるので、よほどAmazonにこだわりがなければ専門店での購入をお勧めします(というより、ICについては怪しい販売元がAmazonには多い…)。
その他
他にも、抵抗、コンデンサ、ダイオード(整流、ツェナー)、コネクタ・ソケット、ユニバーサル基板、スイッチといった電子部品に加え、ねじやスペーサー、鬼目ナット、木板といった部材も使っているため、必要に応じて購入してください。
なお、eBayは販売期限が短い傾向にあるのでご注意ください。