どうも、お久しぶりのReveです。いつぞや振りに技術系のネタを書いていきます。
今回は、このところ巷で話題のPCを先人の知恵で復旧したお話です。
警告
本記事の手順を試す際は自己責任で!
安易に試してPCが故障しても責任は一切負いません。
今回紹介する手順ではPCカバーの開放やBIOS更新が必要となるため、実施した段階でサポート対象外となる恐れがあります(古いPCだと期限が切れている可能性もありますが)。
また、作業自体はあまり複雑ではないものの、PCに関する知識が少し問われるため、工程を理解せずに実行するのは止めておきましょう。
今回のテーマは?
そもそも何の話かというと、2015~2017年に発売された富士通製PC「ESPRIMO」シリーズでWindowsアップデート(正確にはWindows 10の更新プログラム「KB5060533」適用後)をかけると起動できなくなるという不具合です。
今年6月とつい最近の症例ですが、ユーザーも多いのか報告例がそれなりに寄せられているようです。

きっかけ
実は、偶然にも当該機種(ESPRIMO D586/MW)のバグに当たってしまった人が周りにおり、何とか復帰できないか相談されたのがきっかけでした。
当初は厳しいかと思っていましたが、なんと復旧の事例がいくつか上がっていたことから、先人の知恵をお借りしてPCを復活させることができました。
復旧手順
では早速、PC復活の方法ですが、わかる人はこちらの投稿を読んだほうが早いです(汗
先日のWindows… pic.twitter.com/9zu28GQk9h
— mozell (@mozeen_mozell) June 14, 2025
とはいえ、これだと記事の意味が全く無いので補足がてら解説していきます。
要約
作業内容を一言でいうと「マザーボードのBIOSを復旧」です。
どうやら、更新プログラムの適用時にセキュアブートやBIOS周りで問題が発生する説(非公式)が濃厚で、PCのマザーボードに復元ツールを入れたUSBメモリを挿すことでBIOSを復旧してOSを起動できる状態に戻す事がこの手順の肝となっています。
全体の流れ
主な手順は以下の通り。各手順の詳細は後述します。
- PC側の事前準備
- PCの筐体(カバー)を外す
- CDドライブを跳ね上げ、マザーボードの型番およびフロントパネルが見える状態にする
- BIOS復旧用のUSBメモリを用意
- ブート用USBメモリとするため、専用プログラムでフォーマット
- 前述の型番に該当するROMファイル(BIOS)をダウンロード
- USBメモリにROMファイルをコピー
- 復元ツールの起動
- 他のUSB機器を取り外し、前述のUSBメモリを挿す
- フロントパネルの特定ピン同士をショートする
- 電源を入れる
- 成功すると、ビープ音の後でしばらく待機すると画面表示が現れる
PC側の事前準備
まず、BIOS復旧用のUSBメモリを作成するためマザーボードの型番とフロントパネルを確認します。
これを見るためにはPC本体のカバーを外す必要があるのですが、実はネジを数本外して特定の方向へカバーを動かせば外れます(D586/MWの場合、縦置き用の足2個+本体カバーの計3本)。なお、PCを横に寝かせて作業したほうが良いため、ある程度の広さを確保した方がよいでしょう。

本体カバーを開けるとマザーボードが見えるのですが、そのままではCDドライブの下に隠れているため、CDドライブを跳ね上げる必要があります。
D586/MWでは緑色の留め金で固定しており、その金具を引いてから金具と反対方向に持ち上げると蝶番で固定されたCDドライブを垂直に立てることができます。

フロントパネルは後に回し、ひとまずマザーボードの型番を確認します。白いラベルに書かれた型番を覚えておいてください。

BIOS復旧用のUSBメモリを用意
上の工程が終わったら、BIOS復旧用のUSBメモリ作成に取り掛かりましょう。
USBメモリのフォーマット
USBメモリをフォーマットするための専用プログラム「FTS_BootStick_100_1088425.EXE」を(別の作業用)PCにインストールします。下記のURL先で「Direct download」をクリックし、同意書のウィンドウで1番下のチェックボックスをチェックしてプログラムをダウンロードします。

続けて、USBメモリをESPRIMOのブート用USBにフォーマットする作業です。
USBメモリ(32GB以下)を前述のPCに挿してからフォーマット用プログラムを起動し、対象のUSBメモリを(絶対に間違わないよう)指定して「Format」ボタンを押すことで、USBメモリ内に「KERNEL.SYS」と「ThirdPartyLicenses.txt」が生成されてフォーマットが完了します。
BIOSのROMファイル入手
では、いよいよ今回の作業に一番必要なBIOSを入手します。
こちらも富士通のサポートページにアクセスするのですが、以下のURL先に飛んだ後、最初にやるべきは右上の検索欄に型番を入力する事です。一見、メニューのDOWNLOADSから探せそうですし、実際にそこから型番やキーワードで見つかるものもありますが、古い機種は項目にない事もあり検索欄から探すのが賢明です。

検索結果が出てきたら、BIOSタブをクリックして「Admin Pack」の中から同じ型番のファイルを探します。
BIOSファイルも複数のバージョンがあり、最新版か一番古いものがよく選ばれますが、D586/MWは最新版で復旧しました(おそらく機種や個体差もあります)。


あとはフォーマット用アプリの時と同様、「Direct download」をクリックして同意書を承認することでダウンロードします。ダウンロードしたBIOSのROMファイルは、解凍してから中身をすべて先にフォーマットしたUSBメモリに移します。
復元ツールの起動
復旧用のUSBメモリも準備できたので、とうとう最後の作業に入ります。
まずはPCにつないだUSB機器をすべて外し、作成したBIOS復旧用USBメモリを差し込みます。そして、マザーボードのリカバリーモードに入るためにフロントパネルのコネクタピン2カ所をショートさせる必要があり、ジャンパーピンがないものはクリップなどを差し込んでも構いません。

そのまま、PCをモニターと電源につなぎ、スイッチを入れることで(成功すれば)ビープ音が2回鳴ります。そのあと、何回かビープ音が鳴れば復旧モードに入っているので5~10分ほど待ちましょう。黒い画面に白い文字が表示されたコンソールのような画面になればおそらく成功です。
PCの電源をいったんOFFにし、USBメモリを外してからもう一度PCを起動してみましょう。OSが立ち上がれば復旧は完了です。お疲れさまでした!
原因
問題発生から1~2週間くらいは公式からの発表がなかったのですが、最近とうとう対処用のBIOSを公開しました。

正確な原因はわからないものの、やはりWindowsアップデートでBIOSが破損してしまう公算が高そうです。Windowsアップデートはしばらく控えたほうが良いかもしれません。
ちなみに、Windows10のサポートは今年の10月に終わる予定ですが、拡張セキュリティ更新(ESU)については最大3年間の有償、もしくは条件付きで1年無償で提供されるそうです。


参考
