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ヴィンテージの水晶発振子で時計を作る(3/9)

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どうも、前回に引き続きヴィンテージ水晶発振子を使った時計の記事です。
ここからいよいよ制作段階に入ります。今回は、1秒を刻むクロック回路の作り方。

目次

  1. 概要と機能・動作
  2. 材料
  3. クロック回路 ← 今回はココ!!
  4. 時計(時刻のカウント)
  5. 時刻合わせ
  6. VFD点灯制御
  7. 電源、リセット
  8. 実装(はんだ付け、筐体)
  9. 完成までのストーリー

この回路の役割

冒頭で述べた通り、水晶発振子を使って1秒を刻む、いわばこの時計の「心臓部」です。
10kHzの水晶発振子を発振させ、その信号を1/10000分周することで1Hzの信号、つまり1秒を作り出します。これが言わば回路全体のクロックになります。

発振・分周回路

名前の通り、発振周波数が10kHzの水晶発振子用の発振回路と、1/10000分周回路を組み合わせたものです。

水晶発振子

回路の解説と行きたいところですが、まずは水晶発振子に触れておきます。

今回使う水晶発振子(B7G)は、7ピンのMT型真空管と同じガラス管で、1、3、7ピンが水晶本体につながる端子でした。最初はデータシートなど資料を探そうとしたのですが全く見つからず、仕方ないので水晶とつながっている端子を目視で確認しました…。

ガラス管下部にご注目

水晶は細い板状で、金色の電極が片面に2つ、反対側の面にもう2つ繋がっています。この電極が細い導線を伝って管の端子と接続されていますが、1と3ピンが対角上の電極にそれぞれ繋がっており、残りの電極に7ピンが繋がっています。

3端子なので数種類の接続方法があるらしいのですが、対角で別々のピン(ここでは1・3ピン)を接続することで、普通の水晶発振子と等価になるそうです。後述の発振回路とつなげた所、無事に(?)可聴音も含めて動いたので、1・3ピンを繋げて二端子にしました。

発振回路

水晶発振子の動作確認用発振回路の製作(その2)を参考に、74HCU04を使って発振回路を作りました。

特徴としては、水晶と並列に入る抵抗(Rt: 帰還抵抗)による発振担当のインバータへの影響を防ぐため、(帰還抵抗の代わりに)インバータユニットを1個使って発振担当インバータの入力を一定に制御し発振を確保しています。また、発振子につなぐコンデンサを調整できるよう、片側は33pF、もう片方は22pFとトリマ(可変型)20pFを並列でつないでいます。インバータユニットを3個使用しますが、元記事のようにフィードバック抵抗が1MΩでも発振寄生振動、自己発振といった異常はありませんでした。

水晶発振子の発振には、リニア領域が広く異常発振しづらいアンバッファ型インバータの利用が推奨されるそうです。トランジスタによる発振回路もありますが、今回は矩形波でよく、なおかつ安定して発振させやすいC-MOSロジックICによる発振回路としました。

分周回路

また、10kHz(=10000Hz)を1Hz(1秒)へと分周するため、74HC390を2個使って1/10000(1/100の二乗)の分周器を作りました。同時に、中間の100Hz信号(IC1個分)も取ってVFDフィラメント用電源の交流制御に利用しています。

74HC390は2進と5進カウンタ(つまり10進カウンタ)を2個搭載したロジックICです。今回は、HとLの時間が半々で分週に適したデバイダ接続を採用しました。

ここで生成された1Hz信号を、時間の計測と秒の経過(VFD管のドット点滅)に使います。

クロック信号回路

1Hz信号で時計の計測はできますが、(後述の)時刻セットの際はボタンを押した瞬間に更新してほしいので、時刻表示とセットでクロック信号を切り替える回路も用意しました。

NORが反転してNANDになるイメージ

仕組みとしては、1Hz信号とボタン入力それぞれに対して時刻セットのイネーブル信号(1Hzの場合はNOT信号)とのANDを取り、それをORで受けることで、1Hz信号かボタン入力のどちらかを選択できるようにします。
また、ド・モルガンの法則によりOR+AND2個とNAND3個の出力は等価なので、時刻計測で余ったNAND回路とNOT回路で構成しました。

発振回路と分周回路の表と裏

完成した発振+分周回路のテストを水晶発振子を取り付けて、ブレッドボードで行います。
緑色のLEDがチカチカ光ったらOK!詳細は下記動画をご覧ください。

ガラス管なので常にプチプチを装備!

オシロスコープで波形がしっかりと出ることも確認します。

オシロスコープで波形を確認

メイキング動画

【ヴィンテージの水晶発振子で時計を作る】1/5:「発振+分周回路」

発振+分周回路のはんだ付けから、正常に動作するかブレッドボードを使用してのテストをしている動画です。

最終的に、水晶発振子と発振+分周回路はこう組み合わさります。

手前に見えているのが発振+分周回路です。背景が汚くてすみません…
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